園長先生、りんちゃんが海に…!
ただいまぁ!!
「おかえりなさーい。初めてのお散歩、みんなどうだった?」
『楽しかった!!』
「よかったねぇ〜。それじゃあ、よく手を洗ってお部屋に入ってください。」
『はーい!』
「え、えみ先生どうしたの?おんぶしている子は…。」
『園長先生、りんちゃんが海に…!』
「う、み、に!」
『感極まって、履いていたクツを投げてしまって…。』
「えー!」
『右足は拾えたんですが、左足の方が流れてしまって…。』
「りんちゃんは?」
『見ての通り、ピンピンしています。』
「よかったぁ。りんちゃん、海は楽しかった?」
『いひひひ…。』
『園長先生、お母さんになんて言いましょうか?』
「ん…。」
『この間も、りんちゃんの腕が虫刺されで腫れているって大変だったんですよね。』
「ん…、お迎えは何時?」
『今日は、17時です。』
「じゃあ、私から説明するわ…。」
『すいません、お願いします。』
「えみ先生、お疲れ様。」
『お疲れ様です。園長先生、休憩時間なんですけど銀行まで行ってきていいですか?』
「ええ、いいわよ。」
『すいません。』
「あ、ちょっと待って!」
『あ、はい。何かありますか?』
「休憩時間が終わったら、そのままショッピングモールまで行ってきてもらえる?」
『え?』
「りんちゃんのクツ、探してきてもらえない?片方残っていたでしょ。」
『あ〜そうですね!』
「もし同じものがあったら、買ってきてちょうだい。」
『わかりました。とりあえず、立て替えておきます。』
「ごめんね、お願いします。行ってらっしゃい。」
『はーい。』
『ただいま戻りましたー。』
「あ、お帰りなさい。どうだった?あった、同じクツ?」
『はい。サイズも色も、全く同じものがありました!』
「そう!いやぁ、よかったぁ〜。」
『お母さんに上手く状況を説明しても、納得してくれるか分かりませんもんね。』
「そう、そう、そう。」
『はい、これです。』
「ありがとう。へぇ、なんか立派な箱ね。」
『本当ですね、店員さん三人で対応してくれました。』
「ふーん、そうなの。ごめんね、いくらだった?」
『1万3200円でした。』
「は?」
『いいもの履いてますよね。』
「・・・・。」
『私のクツ三足分ですよ、笑っちゃいますよ。ハハハ…。』
「…り、領収書もらってきてくれた?」
『あ、もらってきました。これです。』
「ありがとう…。」
『じゃあ、私、お部屋に戻ります。』
「お疲れ様…。」
「・・・・。」
「…これ、消耗品で落ちるかしら…。」