子ども子育て 編
<令和2年4月からの主な改正 Ⅹ>
① 母子父子寡婦福祉資金貸付金の額の引き上げ
母子父子寡婦福祉資金貸付金のうち4種類の資金において、貸付限度額が引き上げられます。
[資金種類] | [貸付対象] | [貸付限度額] |
事業開始資金 | ・母子家庭の母 ・父子家庭の父 ・母子・父子福祉団体 ・寡婦※ | ・個人 2,930,000円 ・団体 4,410,000円 |
事業継続資金 | ・母子家庭の母 ・父子家庭の父 ・母子・父子福祉団体 ・寡婦 | ・個人 1,470,000円 ・団体 1,470,000円 |
修学資金 | ・母子家庭の母が扶養する児童 ・父子家庭の父が扶養する児童 ・父母のない児童 ・寡婦が扶養する子 | ・大学、高等専門学校、専修学校専門課程 自宅通学 月108,500円 自宅外通学 月146,000円 ・専修学校一般課程 月49,500円 |
就学支度資金 | ・母子家庭の母が扶養する児童 ・父子家庭の父が扶養する児童 ・父母のない児童 ・寡婦が扶養する子 | ・国公立の大学、国公立の大学院、 国公立の高等専門学校、国公立の専修学校専門課程 420,000円 |
母子父子寡婦福祉資金貸付金の概略
母子父子寡婦福祉資金貸付金は、ひとり親家庭等が、自身の就労や児童の就学などで資金が必要となった場合、また自身の就業環境が変化し一時的に収入が減少した場合などに、無利子または低利子で貸付けを受けられる資金です。ひとり親家庭等の経済的自立を支援して、生活意欲を促進するとともに、その扶養している児童の福祉増進を目的としています。加えて、ひとり親家庭の子どもが大学等に修学しやすい環境を整えるため、修学期間中の生活費等を補給することもいたします。
[資金種類] | [主な貸付対象者] | [主な内容] |
事業開始資金 | ・母子家庭の母 | ・自ら事業を開始するのに必要な設備を整えるための資金。 |
事業継続資金 | ・母子家庭の母 | ・自ら営んでいる現在事業について継続するために 必要な運転資金。 |
修学資金 | ・母子家庭の母が 扶養する児童 | ・子どもが高等学校、大学、専修学校などに 修学するための必要資金。 |
技能習得資金 | ・母子家庭の母 | ・自ら事業を開始、又は会社等に就職する目的で 知識技術を取得するための学習資金。 |
修業資金 | ・母子家庭の母が 扶養する児童 | ・子どもが事業を開始、又は会社等に就職する目的で 知識技術を取得するための学習資金 |
就職支度資金 | ・母子家庭の母又は児童 | ・就職する際に必要品を購入するための資金 |
医療介護資金 | ・母子家庭の母又は児童 (介護の場合は児童を除く) | ・1年以内の医療又は介護を受けるために必要な資金。 |
生活資金 | ・母子家庭の母 | ・知識技能を習得している間、 医療又は介護を受けている間、 ひとり親家庭になって7年未満の者、失業中の者など 生活を安定継続するための生活補給資金。 |
住宅資金 | ・母子家庭の母 | ・自ら住宅を購入、補修などをするための建築資金。 |
転宅資金 | ・母子家庭の母 | ・住宅を移転するため貸借に際し必要な資金。 |
就学支度資金 | ・母子家庭の母が 扶養する児童 | ・就学、修業するために必要な準備資金 |
結婚資金 | ・母子家庭の母 | ・ひとり親が扶養する児童及び 寡婦が扶養する20歳以上の子の婚姻に際し必要な資金 |
なお、修学資金と就学支度資金に関しては、令和2年4月から実施される高等教育の修学支援新制度の対象となる家庭について、授業料等の減免や学資支給金の額を控除した額が貸付限度額になります。
加えて、修学支援新制度の対象となる者に対して、大学等が入学金等を先に一旦徴収し、その後減免等が確定した際に、減免相当額が還付される場合には、借受人に対して、すでに貸付けている金額のうち還付された額分についての償還が求められます。
他にひとり親家庭等のセーフティネットとして、母子生活支援施設などがあります。こちらは保護を必要とする母子を入所させて生活指導を行う施設で、母子家庭はもちろんのこと、DV被害者や様々なトラブルに見舞われて何らかの事情で離婚手続きができない母親と子どもも利用しています。健やかな子どもの成長を育むためにも、大変重要な役割を担った施設であると個人的に考えております。
新型コロナウイルス感染症による影響
ひとり親家庭や寡婦の方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に就労収入が減少した場合、「生活資金」などの貸付が可能になるケースがあります。
同時に、過去に同資金の貸付けを受けた方で、新型コロナウイルス感染症の影響により支払期日に償還金を支払うことが難しくなった場合は、多くの自治体で支払いを猶予する措置を取っています。詳しくは各自治体にお問い合わせください。
また、政府は特例措置として、生活福祉資金貸付制度の対象者を拡大し、緊急小口資金等の貸付を実施しています。母子父子寡婦福祉資金貸付は保証人がいないと原則 有利子ですが、緊急小口資金等は保証人がいなくても無利子で借りることができます。こちらも詳しくは、お住まいの地域の市区町村社会福祉協議会にお問い合わせください。
[生活福祉資金貸付制度] | 緊急小口資金 | 総合支援資金費 |
対象者 | 新型コロナウイルス感染症の影響を 受け、休業等により収入の減少があり、 緊急かつ一時的な生計維持のための 貸付を必要とする世帯 | 新型コロナウイルス感染症の影響を 受け、収入の減少や失業等により 生活に困窮し、日常生活の維持が 困難となっている世帯 |
上限額 | 学校等の休業、個人事業主等の特例の場合 20 万円以内 その他の場合、 10 万円以内 | (二人以上) 月 20 万円以内 (単身) 月 15 万円以内 貸付期間:原則 3 月以内 |
据置期間 | 1 年以内 | 1 年以内 |
償還期限 | 2 年以内 | 10 年以内 |
貸付利子 | 無利子 | 無利子 |
厚生労働省 一時的な資金の緊急貸付に関するご案内(日本語)
https://www.mhlw.go.jp/content/000621220.pdf社会福祉法人 全国社会福祉協議会
https://www.shakyo.or.jp/network/kenshakyo/index.html
母子父子寡婦福祉資金貸付や、生活福祉資金貸付制度を利用すれば一定程度耐えることができるけれども、緊急事態措置期間経過後もなお生活に困窮している場合は、生活保護の利用を考えましょう。日本国民は憲法25条において、“健康で文化的な最低限度の生活を営む権利” が保障されています。生活保護はそれに基づき、困窮の程度に応じて必要な保護を行いながら自立を助長する制度です。詳しくは、お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当にお問い合わせください。
② 違約金等の利率の引き下げ
福祉資金貸付金の貸付けを受けた方が支払期日までに償還金等を支払わなかった場合、違約金等が徴収されますが、その利率については、5%から3%に引き下がります。